登山の魅力③ 「山頂クッキング」
空の下で食べるごはんがおいしいのは、子どもの頃から知っていることだ。
遠足や運動会で食べるごはんは、いつもよりずっとおいしく感じた記憶がある。
大人になると、そんな機会が少なくなり、毎日の忙しさに、ついさっとごはんをすませてしまうこともある。
そんな日々を過ごしていると、ふと山を歩きたくなる。
いつもより少し早起きをして、必用な食材をこだわりのケースにしのばせる。
今日は少しだけ豪華に、こだわりのメニューを作りに山に登ろう。
少しくらいならお酒だって飲んでもいい。
電車から二時間ほど、友人と登山口で待ち合わせる。さあ、ハイクのスタートだ。
今日の山は割りと緩く、急な勾配もない比較的小さなアップダウンの道をゆっくり歩くルートだ。
頂上に着く頃は、お昼よりも少し早い時間なので、ゆっくりと調理を楽しむことができる。山でのコップは自分。
普段、日常の忙しさにかまかけて手を抜いている分、時間がのんびりとした山では腕をふるう。
小さなザックの中から取り出した食材が豪華なランチに変身していく様子を、友人は目を輝かせて見ている。
1品だけじゃ味気ないから、3品、4品と並べていく。さいごにマイ水筒に入れたワインをコップに注ぐ。
山ごはんの完成だ。
独特な山の香りと、鳥の声をBGMに。空と雲をいつもより近くに感じながら、のんびりいただく。
一口一口食べていくごとに、心と身体が芯からリフレッシュされていくのがわかる。
ほろ酔いも冷めて、しめのお茶を味わうように飲んだらランチタイムも終了。
最後は、山の空気をめいっぱい吸う。
「ごちそうさまでした。」
足取りも軽くなった僕は、明日に向かって山を下りた。
